相続税の基礎知識「遺言について」(郡山 相続)

query_builder 2020/08/20
1.「遺言」は、遺言者の死亡後の法律関係を定める最後の意思表示であり、死亡によって法律効果が発生します。
 そして、「遺言」は、一定の方式に従って行われる一方的かつ単独でなされる意思表示です。
「遺言でなし得る行為」の種類は、次のように11の項目があります。
 ①財産処分 ②認知 ③推定相続人の廃除とその取消し ④未成年後見人・未成年後見監督人の指定 ⑤相続分の指定又は指定の委託
 ⑥遺産分割方法の指定又は指定の委託 ⑦遺産分割の禁止 ⑧相続人相互の担保責任の指定 ⑨遺言執行者の指定又は指定の委託
 ⑩遺贈減殺方法の指定 ⑪持戻免除の意思表示。
2.「遺言」に関する総則について
 (1)「遺言」は、要式行為であるとされており、これに反する遺言は効力は生じません。
 (2)遺言能力のがあること。満15歳以上であれば、未成年者・被保佐人・被補助人、成年被後見人であっても本心に復している時であれば有効に遺言ができます。
3.包括遺贈と特定遺贈について
 遺贈とは、遺言により、受遺者に対し無償で自らの財産を与えることです。また、受遺者は、遺贈を放棄することができます。
 なお、死因贈与も、死亡後の財産処分に関係しますが、これは、贈与契約とされており、遺贈は単独行為である点で異なります。
 包括遺贈であるか特定遺贈であるかは、遺言書の記載内容やその他の事情を考慮して、遺言者の意思解釈によってきまります。
 また、遺留分を侵害した遺贈は、遺留分権利者からの減殺請求があればそれに服しなければなりません。
4.遺言の方式について
 (1)普通方式として、次の3つがあります。 ①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言
 (2)特別方式としては、危急時遺言(死亡危急者や船舶遭難者)と隔絶地遺言(伝染病隔離者や在船者)があります。
5.遺言書の検認と開封について
 遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、その遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
 この検認を怠ると5万円以下の過料に処せられてしまいますのでご注意ください。