相続税の基礎知識 「遺留分」について (郡山 相続) 

query_builder 2020/08/31
民法の定めでは、「遺言自由の原則」が認められており、被相続人は自己の財産を遺言で自由に死後処分ができるとなっています。
他方で、近親者の相続期待利益の保護、また、被相続人死亡後の遺族の生活を保障するために、相続財産の一定部分を一定範囲の遺族のために留保させる「遺留分の制度」があります。
このことから、「遺留分」は、被相続人から見れば、財産処分の自由に対する制約を意味し、相続人から見れば、相続により期待できる最小限度の財産の確保ができることを意味しています。
この相続人の最小限の財産確保のための権利を行使できるのが、「遺留分権利者」といわれ、この権利のことを「遺留分侵害請求権」といいます。また、遺留分権利者が相続の開始及び侵害された
贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき、又は相続開始の時から10年を経過すると時効により消滅してしまいます。
  遺留分権利者は、直系尊属・直系卑属・配偶者・兄弟姉妹です。
  遺留分の割合は、被相続人の財産(遺留分算定の基礎となる財産の価額)に対して、「直系尊属のみ」の場合は、3分の1であり、その他の場合は、2分の1となります。
 また、現在、中小企業の経営者や個人事業主の経営を守るために、事業承継税制(特例措置)の制度があり、相続人が複数いる場合、経営者が遺言や生前贈与によって後継者に自社株式や事業用資産を集中して承継
させようとすると、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があるため、この特例制度を活用し、「除外合意」・「固定合意」と併せて不随合意をすることにより、紛争解決をすることができます。
 そして、「事業承継制度の活用」を国が積極的に進めており、なんとかして中小企業の継続を支えようとしております。そのため、認定経営革新等支援機関を通じて多くの中小企業の持っている潜在的な財産、すなわち、国の財産を守ろうとしています。当事務所も支援機関の認定を受けており、中小企業の経営者を応援していますので、ぜひ活用することを検討していたいただきたいと思います。